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キーボードの基礎知識

ホットスワップ キーボードとは?特徴やメリットやデメリット、選び方を徹底解説

メカニカルキーボードの中で、ここ数年で注目されているのが「ホットスワップ」機能。ホットスワップとは何か、特徴やメリットやデメリット、選び方を徹底解説します。

更新日: 2024.10.30公開日: 2022.7.14

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ホットスワップ・キーボードとは?

ホットスワップという単語は、もともとデジタル機器の用語で、「電源を投入したまま脱着を行える構造を備えた機器の仕組み」です。ホットプラグとも言われます。

メカニカルキーボード界隈ではやや意味が異なり、メカニカルキーボードのスイッチを自分で交換できる仕組みのことを「ホットスワップ」もしくは「ホットスワップ・キーボード」と呼びます。

通常メカニカルキーボードは、スイッチがキーボードプレートに打ち込まれている、もしくは半田付けされているため、自分で交換することは出来ず、故障した場合はメーカーや専門業者に修理を依頼するか、買い換えるのが通常です。

しかし、ホットスワップ式のメカニカルキーボードは、台座にピンを埋め込んでいるだけなので、自分でスイッチを交換することが出来ます。

キースイッチやキーキャップは何が使える?

ホットスワップという特殊な機能を考えると、ホットスワップ・キーボードは専用のキースイッチやキーキャップが必要なように思えますが、ホットスワップ式のキーボードは、キー台座がホットスワップ式になっているだけで、キースイッチ自体はCHERRY MXなどの3ピンまたは5ピンのメカニカルスイッチを使うことが出来ます。ただし、基盤のピン受けと同じ形状であることが前提です。

背面のデザインが大きく異なる3ピン式と5ピン式のスイッチ

ホットスワップ・キーボードは通常のメカニカルスイッチと同じなので、メカニカルスイッチ向けのキーキャップを使うことが可能です。

ホットスワップ・キーボードは重くなる?

ホットスワップ・キーボードは基盤の方式が違うだけなので、基本的にホットスワップになることで重量が増えることはありません。

ただし、ホットスワップに対応しているメカニカルキーボードはまだ種類が少ないため、ホットスワップに対応した軽量なキーボードの選択肢が少ないことは確かです。

RGBバックライトに対応したホットスワップ・キーボードはある?

キーボードのバックライト機能には二つのタイプがあります。

  1. キースイッチ自体が光る
  2. キーボードの基盤側にLEDがある

ホットスワップ・キーボードの場合、キースイッチが交換される前提なので、(2)のキーボードの基盤側にLEDがあることがほとんどです。つまり、キーボード自体がRGBバックライトに対応していれば、RGBバックライトを使うことが出来ます。

注意したいのは、自分でキースイッチを交換する場合は、キースイッチのベースユニットが透明になっている、「バックライト透過タイプのキースイッチ」を選ばないと光が弱くなったり、光が見なくなってしまいます。

全体が透明のキースイッチと通常スイッチの比較

ホットスワップ・キーボードのメリット

故障時に自分で修理が出来る

メカニカルキーボードのスイッチは、5000万回など高い耐久性能を持っていますが、それでも毎日のようにタイピングをしていたら寿命はやってきます。

全てのキーが均等に寿命が来るなら諦めもつきますが、通常タイピングは「よく使うキー(母音など)」があり、早めに寿命が来るキーが必ず出てきます。つまり、「生きているキーもあるのに買い換える必要」が出てくるのです。

しかし、ホットスワップ式のメカニカルキーボードであれば、「修理方法はスイッチを交換するだけ」なので誰でも簡単にメカニカルキーボードの修理が可能です。

しかも、キースイッチ単体は数百円と安いため、買い替えよりも圧倒的にコスパが高くなり、お気に入りのキーボードを長く使うことが出来ます。

好きな軸を取り付けてカスタマイズが出来る

メカニカルキーボードに限らず、キーボードはスイッチや方式が全てのキーで統一されます。

しかし、ホットスワップ式のメカニカルキーボードは、自分でスイッチを交換できるため、好きなキーに好きなスイッチを使うことが出来ます。

例えば、ゲームでよく使うWASDキーだけ少し軽い軸に交換したり、打鍵音が大きくなりがちなスペースキーなどの大きめのキーだけ静音キーにしたりと、自分の使い方に合わせてカスタマイズが可能です。

従来なら、こうした自分好みの軸をレイアウトするには自作キットなどを使って自分でキーボードを組み上げる必要がありましたが、ホットスワップ・キーボードの登場によって、メーカー品という精度の高いキーボードで自由にカスタマイズできるようになったのです。

ホットスワップ式キーボードのデメリット

種類が少ない

ホットスワップ式のメカニカルキーボードは、ここ数年で広がってきたタイプのキーボードなのでまだまだラインアップが少ないのがデメリット。

先ほど解説したとおり、ホットスワップ式キーボードはキー台座(プレート)がホットスワップ式になっている必要があるので、種類が少ないということは台座のレイアウトの種類が少ないということになります。

値段が高い

メカニカルキーボードは通常のキーボードよりも値段は高い傾向にありますが、ホットスワップ式のメカニカルキーボードは、さらに高い傾向にあり、安くて7,000円台、ボリュームゾーンは1〜1.5万円くらいが相場です。

「とにかく安くメカニカルが欲しい」という方にはやや予算オーバーになってしまいますが、もし日常的にキーボードを使うのであれば、「修理 = スイッチの交換だけ」で長く使えるという意味ではコスパは高いと言えます。

耐久性が低い製品もある

従来のメカニカルキーボードがハンダ付でしっかりと固定されているのに対して、ホットスワップ・キーボードはピンを入れ込んでいるだけなので、どうしても接点の耐久性には問題が出てきやすくなります。

そうした構造的な理由もあり、ホットスワップ式のキーボードの製品レビューを見ていると「すぐにスイッチが壊れた」というレビューをよく見かけます。

ただ、これは製品によっても異なりますし、今後改善されていくポイントでしょう。

ホットスワップ・キーボードの選び方と注意点

実績のあるメーカーから選ぼう

ホットスワップ・キーボードはここ数年で広がってきた製品なので、まだ製品が発展途上なところがあります。しかも、新興キーボードメーカーもどんどん出てきているので、製品の品質が一定ではありません。

そうした不安定な点があるため、キーボードメーカーとして実績のあるメーカーから選ぶのがベストです。

日本で購入できるメーカーなら、CORSAIRやe元素、Keychronなどのメーカーのホットスワップ・キーボードで、かつ、レビューをしっかりチェックして問題がなさそうかを確認してから購入するようにしましょう。

対応するキースイッチに注意しよう

ホットスワップ・キーボードは基本的にはCherryMXタイプのキースイッチに対応していることがほとんどですが、組み合わせ次第でスイッチが反応しないということもあります。

そうしたケースを想定して、キーボードメーカー側もキースイッチを交換する際に使えるスイッチのメーカーや型番を記載していることがほとんどです。

注意したいのは、交換可能なキースイッチの入手性。キースイッチが交換可能でも、「キースイッチ自体が入手できない」のであれば、実質交換出来ないのと同じになってしまいます。

より拘りたいのなら自作も

ホットスワップ・キーボードはまだ完成品が少ないため、自分好みの製品が見つからないこともあります。より拘りたいなら、ベース基盤やキースイッチ、キーキャップを自分で入手して、自分でホットスワップ・キーボードを自作すると言うのも一つの手です。

格安キーボードで有名なKeychronなどは、カスタムキーボードシリーズとして、ホットスワップ式メカニカルキーボードのベアボーンも販売しています。

Keychron Custom Keyboards

ベアボーンキットのお値段は高いですが、スイッチを交換すれば長く使えると言う意味では、軸が合わなくて買い換えるよりかは、数年単位で考えればコスパは悪くありません。

ホットスワップ キーボードに関するよくある質問

Q.

手持ちのメカニカルキーボードをホットスワップ化できる?

A.

ホットスワップにするには、キーボードの基盤がホットスワップのものである必要があるため、基盤ごと交換になります。そのため、手持ちのメカニカルキーボードをホットスワップ化するのはパーツが揃えば可能ですが、コストを考えると現実的ではないでしょう。

現在のキーボードを活用したいなら、ホットスワップ対応のキーボードを新しく買って、キースイッチやキーキャップを交換する方法がベストです。

Q.

ホットスワップのスイッチは手で外せる?

A.

製品にもよりますが、ホットスワップのスイッチはベースプレートにピッタリとくっついているため、手で外すのは難しいでしょう。

ホットスワップ対応キーボードには専用のプラーが付属しているのでそちらを使いましょう。

ホットスワップの場合、スイッチは固く押し込まれているわけではないですが、無やり手で外そうとしてスイッチのピンを破損させてしまうと、スイッチごと交換することになります。